第七百二十七夜    お客様のお部屋から内線が入ったとフロントから呼ばれた。少し早いが食事が終わったので露天風呂に入るから、その間に夕食の膳を片付けて布団を敷いておいて欲しいとのことだ。  洗い場に声を掛けてか […]
第七百二十六夜    バックヤードで事務仕事をしているところへシフト前十分ほどの余裕を持ってバイト君がやってきた。いつも通り挨拶を交わすが心做しか元気がない。  簡単な更衣室へ入って着替える彼へ、どうかしたのか […]
第七百二十五夜    昼休みの少し前、仕出し弁当屋の軽自動車が駐車場に入ってきた。いつものように挨拶を交わしてバックドアへ回って荷物を受け取ろうと待つ。  そこへ運転席から降りてきた弁当屋の親父さんが、 「兄さ […]
第七百二十二夜    電話が鳴って、夕飯の支度に掛かっていた手を止めた。電話機のディスプレイには二年前まで息子のお世話になっていた幼稚園の名前が表示されている。はて今更何の用かと首を傾げながら受話器を取ると、裏 […]
第七百二十一夜    晩酌のツマミもぼちぼち残り少なくなってきたところで、観るというよりは眺めていた映画が今ひとつ物足りないまま終わってしまった。もう暫く時間を潰そうとネット配信のニュース番組をモニタに映す。 […]
第七百十七夜   便所からデスクへ戻ろうとして、見るともなく同僚のデスク上を見て、犬の写真が飾られているのが目に入った。 「あれ?」 と思わず声が出る。彼女の家では幼い頃から一緒に育ったという老犬が飼われている […]
第七百十五夜   大風の後片付けに男手が欲しいと実家に請われ、祝日前の夜に車を走らせて帰省した。 疲れているから明日の片付けのために早く寝たいというのを父に止められ、晩酌に付き合わされる。傍らではテレビの特番で […]
第七百八夜   電気街でPCのパーツを買ってそろそろ帰宅しようかという折、空がにわかに掻き曇って大粒の雨が落ちてきた。秋分を過ぎて久しいというのにまるで夕立だ。雨具の用意も無く、買ったばかりの荷物を濡らすわけに […]
第七百七夜   息子の初めての運動会、ハンディ・カムを持って妻と近所の公園へ行った。土地の狭い住宅街の比較的新しい幼稚園故に十分な園庭が無く、駅前の大きな公園を市に借りて行うのだ。 朝から設営を手伝い、息子の姿 […]
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