第四百夜   病室で亡くなった患者さんの清拭が終わり、ベッドからストレッチャへ載せて病室を出る。遺体の搬送業者が来るまで、一時的に霊安室へ移っていただかなければならない。 ご高齢の奥様は付きっきりの看病続きであ […]
第三百九十九夜   夕食を終えて一段落付き、便所に立って外が静かなのに気が付いた。 降り続いた秋雨が止んだのだとわかり、居間に戻って妻に数日ぶりのジョギングに出ると宣言する。足元も悪いのにとやんわり止められるが […]
第三百九十八夜   居心地が悪いのと申し訳ないのとで、断られつつも母の洗い物を手伝い、居間へ戻ると、何やら楽しそうに父と夫が食後のお茶を飲んでいた。 お腹がいよいよ大きくなって休職し里帰りをしているところへ、来 […]
第三百九十七夜   早くも取り出した炬燵に脚を突っ込み、天板にの押せたノート・パソコンで仕事をしていると、両親の見ているテレビから、 「さぁさ飴は要らんかね、買えば楽しい紙芝居が見られるよ」 と、威勢のいい男性 […]
第三百九十六夜   週の殆どを在宅勤務で過ごしていて、隣家、といってもアパートの隣室なのだが、最近少々気になることがある。 平日の四時半頃になると、小学校高学年の姉が、弟を連れて帰ってくる。数日前に隣室の父親と […]
第三百九十五夜   政府が旅行業者への支援策を打ち出したことから、例年なら貧乏学生のサークル合宿でなどとても手の出ないような宿を格安で借りられるとの情報が周ってきて、有志というか、遊びに回せるお金に余裕のある者 […]
第三百九十四夜   「いないわよ、そんなもの」 と、スピーカから聞こえる母の声には、ただ藪から棒に訳の分からぬことを訪ねてきた娘の真意を測りかねるという戸惑いの色だけが浮かんでおり、隠し事をしていた後ろめたさだ […]
第三百九十三夜   「おい、兄ちゃん」 と肩を揺さぶられて目が覚めた。寝袋の中は軽く寝汗をかく程度に暖かだが、外に出ている顔に当たる風は随分冷たい。その冷たい顔を、よく陽に焼けた人の好さそうな老爺と黒い柴犬が覗 […]
第三百九十二夜   冷たい風の吹くようになった帰宅途中、住宅街にあるコンビニエンス・ストアへ立ち寄って週刊誌と晩酌のツマミを籠に入れてレジスタへ向かうと、中学の同級生が立っていた。 ここは元々酒屋の持ちビルで、 […]
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