第五百八十夜   数日降り続いた雨から一転して猛暑日となった日の深夜、あまりの蒸し暑さに体が火照って目が覚めた。節電のため適当な時間で冷房が切れるようにタイマを設定していたのが仇となったか。 布団には湿気ととも […]
第五百七十九夜   駅のプラットフォームに上がると、自宅の最寄り駅で改札階へ続く階段近くに停まる車両のやってくる「定位置」へ移動した。特に急いで帰宅する理由もなければ、ほんの数両分だけ移動したからといってどれだ […]
第五百七十六夜   どうにかこうにか期末試験を乗り越えて、後は全校集会を乗り越えれば夏休み、全校生徒が体育館に集まって整列した。全国的に疫病騒ぎがぶり返しつつある中、特に有名な観光地のあるでもない我が地域では全 […]
第五百七十五夜   友人に誘われて助手席に乗り、山中の夜道を走っていた。特に何の目的があるわけでもなくガソリンを消費する、いわゆるドライブという行為である。特にそれを趣味にしているわけではないが、助手席で寝てい […]
第五百七十四夜   バイクの事故で脚を折って入院して約一週間、そろそろ退院してリハビリという頃合いの土曜の朝に、友人が夫人とともに見舞いの果物を持って見舞いに来てくれた。 入院中既に幾度も連絡を取り合っていたの […]
第五百七十二夜   バイト上がりの夕方六時頃、夏至が近付いて日が暮れるのも随分遅くなったものだと夕焼けを眺めながら帰宅しようと自転車に跨ったとき、スマート・フォンに着信があった。 ポケットから取り出して画面を見 […]
第五百六十八夜   配送から帰ってきた新入りのドライバが、駐車場に車を停めるなり顔を真っ青にして事務所へと駆けて行った。 ――ああ とちょっとした予感がする。手元の仕事に一区切りを付けてから、事務所へと様子を見 […]
第五百六十七夜   同棲中の彼女が派遣先を辞めたいと相談してきた。半年ほど前に紹介された小さな旅行代理店で、前社長が亡くなった後にその夫人が後を継いだタイミングで人手が足りなくなったという。 前社長の業務を夫人 […]
第五百六十五夜   よく晴れて見晴らしの良い田舎道を自転車で走っていて、ふとその光景に見覚えがあるのに気が付いた。 といって、ほんの一ヶ月半ほど前にも同じ道を同じように走ったのだから風景に見覚えがあって当然だ。 […]
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