第五百四夜   管理人の趣味でカボチャやら黒猫やらの飾り付けられたエレベータ・ホールで、夕食の入った買い物袋を手持ち無沙汰に揺らしながらエレベータの降りてくるのを待っていた。 やがてエレベータの扉が開き、一歩踏 […]
第五百夜   酒類の提供が解禁され、友人と久し振りに共通の好物である沖縄料理を食べに出掛けた。 自宅でレシピを真似ても何故か再現出来なかった懐かしいあれこれの風味に舌鼓を打つうち、まだ夜も浅いのにラスト・オーダ […]
第四百九十七夜   郊外へ引っ越しをした晩、最低限の衣服、寝具と風呂、トイレ周りの荷解きとを終わらせたところで疲れ果て、見慣れぬ風呂場で汗を流した後直ぐ、居間に広げた布団に親子三人久し振りに川の字になると、目を […]
第四百五十九夜   買い物から帰宅して真っ先にトイレに駆け込んで用を足して扉を開けると、買ってきたばかりの雑貨を早速取り出して消毒している同棲相手が、 「そんなに我慢しなくても、外でしてくればよかったのに」 と […]
第三百十三夜   「単身赴任先から新幹線で戻って来たところでして」 「それでこの荷物ですか」 「ええ、ちょっと遅れましたが、クリスマスのプレゼントなんかも入っているもので」 そんな世間話をしながら、運転手と二人 […]
第三百四夜   昼の休憩時間になって、同じ部署の数人で連れ立って近所の定食屋に入った。 水を貰って一同メニュを眺めていると、唯一の後輩が紙ナプキンにボールペンで何やら文字を書き、 「文字は見ないで置いて下さい」 […]
第二百九十夜   電車を降りると海風が強いのか、磯の香りが鼻を付く。こういう晩は天気予報に関係なく弱い雨の降ることが多い。 外に干した洗濯物を心配しながら牛丼のチェーン店に入り持ち帰りの注文をして、カウンタ席の […]
第二百四十六夜   怪奇モノのTV番組を見え終えた娘達に風呂を促そうとしたときだった。 「じいちゃんも、死神を見たことがあるぞ」 と、ビールで酔った父が上機嫌に笑う。 私が子供の時分には、こんな風に子供と会話を […]
第二百夜   家路に吹く風の予想外な冷たさに、遅い夕食を確保しに立ち寄った深夜営業のスーパーで葉物と鶏肉を買わされた。 簡単に煮込みうどんにでもして暖を取ろう。 そんな夕餉への期待を頼りに人気のない寒空の下を歩 […]
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