第四百七夜   少しだけ長く寝た休日の朝、寝ぼけた頭で珈琲を淹れながらスマート・フォンをチェックすると、ある米国人の友人から久し振りにメッセージが入っているのに気が付いた。 大学時代にこちらへ留学でやってきて、 […]
第四百六夜   日帰りの撮影旅行から帰宅すると直ぐに、記憶媒体に一杯になったデータを全て選択してデスクトップ・パソコンのハードディスクへ移すよう命令すると、ややあって作業中のファイルを提示するウィンドウに、残り […]
第四百五夜   目を覚ますと周囲が青白く、消毒薬の匂いに満ちていた。眠い頭で暫く考えて、自分が入院中だと思い出す。 学校から帰宅して直ぐに急な腹痛に襲われて医者に担ぎ込まれ、虫垂炎、いわゆるモーチョーだと診断さ […]
第四百四夜   勤め先から車に乗って三十分、最寄り駅の近所まで来て、最近珍しいくらいの渋滞にぶつかった。 前方が動かぬのを見てハンズ・フリーのまま妻に状況を報告し、ついでに量販店での買い物でも無いかと打診する。 […]
第四百三夜   後輩の女子社員に頼まれて休日の買い物に付き合った帰り、特に用事もないので一緒に下りの列車に乗った。ちなみにこれはデートなどでは決してない。彼女に初めてできたボーイフレンドへの誕生日プレゼントを決 […]
第四百二夜   東海道を箱根に向かって下り始めて小一時間、そろそろ上り坂になってきた。辺りの景色も、何が面白いのか子供の頃に親がテレビで付けていた駅伝で見たのか、どことなく懐かしい。 予約した宿の看板を見付けて […]
第四百一夜   語学の授業で同級の、線の細く整った顔立ちの割に地味というか陰のある女子に気を惹かれていた。授業の終わりに声を掛け、学食で昼食でも一緒にどうかと尋ねると、やんわりと断られるが、こういうものは一度で […]
第四百夜   病室で亡くなった患者さんの清拭が終わり、ベッドからストレッチャへ載せて病室を出る。遺体の搬送業者が来るまで、一時的に霊安室へ移っていただかなければならない。 ご高齢の奥様は付きっきりの看病続きであ […]
第三百九十九夜   夕食を終えて一段落付き、便所に立って外が静かなのに気が付いた。 降り続いた秋雨が止んだのだとわかり、居間に戻って妻に数日ぶりのジョギングに出ると宣言する。足元も悪いのにとやんわり止められるが […]
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