第四百九十六夜   取引先から帰社する電車の中、 「何か旨いものでも食おうか」 と上司が言い、最寄り駅の駅前の飲食店が臨時で出している弁当で、結構値の張るものを奢って貰った。 近くのコンビニエンス・ストアでお茶 […]
第四百九十五夜   組み上がったPCに古いハードディスクを接続して起動すると、認識は無事成功した。依頼主の部下に内容を確認するように言うと、彼女は礼の言葉と共にカップ入りアイスを出して労ってくれる。 椅子を交代 […]
第四百九十四夜   ワクチンを打った日の深夜、熱帯夜と発熱に浮かされて寝付かれず、口に出来るものも底を突いた。喉は渇き、食欲は一切無いが体内のエネルギが足りぬ気配だけは切実に感じる。仕方がない、汗でぐっしょり濡 […]
第四百九十三夜   疫病騒ぎで減った運動量と反比例して増える体重に、久々に夜のジョギングを再開しようと、きつくなったジャージと運動靴とを発掘して、爽やかな風の吹くようになった夜道へ出た。 学生時代に拡張した胃袋 […]
第四百九十二夜   深夜頃にはここらも暴風域に入ると聞いて風雨の酷くなる前にとバイトを家に帰す約束をして、滅多に下ろすことのないシャッタを店の大きな窓の半ばまで下ろした。 ここは山中の盆地に田畑の広がる中、比較 […]
第四百九十一夜   トレイに載せたグラス二つを窓際の少女達へ運ぶと、 「ね、新しい都市伝説、仕入れちゃった!」 と聞こえてきた。 私のバイト先であるこの店は大手チェーンに比べて値段が安く、彼女達のような学生服姿 […]
第四百九十夜   桶の中のキッチン・タイマが無粋な電子音で時限を報せるので、後ろ髪を引かれる思いで事実上貸し切りの大浴場に別れを告げ、さっと汗を流して脱衣場に戻り、浴衣に着替えた。 髪は部屋に戻って乾かそうとタ […]
第四百八十九夜   居間でヘッドフォンを耳に掛けてエレクトーンの練習をしていると、母が買い物に出る間の留守を宜しくと言って出掛けていった。 暫くすると妹がテーブルにドリルの類を広げてその前に坐る。この期に及んで […]
第四百八十八夜   昼の部の最後のお客をお見送りして、自分とバイトの女性の賄い飯を作りに厨房へ入って鍋を火に掛けた。 彼女もいそいそと食器を下げ、座席、パウチされたメニュ、テーブルと、マニュアル通りの順番に、ゴ […]
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