第六百四十二夜   トレイに載せたグラス二つを窓際の少女達へ運ぶと、 「ね、遂に私も変な体験しちゃった!」 と聞こえてきた。 私のバイト先であるこの店は大手チェーンに比べて値段が安く、彼女達のような学生服姿の客 […]
第六百四十一夜   夕方、祖父から連絡が来た。私の職場近くまで用が有って来たから、家まで送ってくれると言う。まだ退社まで一時間ほどあると返すと、待つのは慣れているし、久し振りに孫の顔も見たいとのことで、仕事場の […]
第六百四十夜   私の通う小学校は創立百周年を超える古いもので、いわゆる学校の七不思議がたくさんある。七つどころか両手両足の指でも足りなくて、もうどれが元々の七不思議なのかわからない。七不思議なのに「たくさんあ […]
第六百三十九夜   ストレスの発散に付き合ってほしいと誘われた居酒屋で晩くまで酒を飲み、結局足がなくなって、そのまま友人宅へお邪魔することとなった。 途中深夜営業の量販店で酒とツマミや甘味を仕入れ、友人宅へ着い […]
第六百三十八夜   買い出しの荷物を車から下ろしていると、下の娘が駆けてきて脚に取り付き何やら喚きだした。家の中で荷物を片付けていた妻が顔を覗かせると娘はそちらに鞍替えして家の中へと消える。 荷物を玄関まで運び […]
第六百三十七夜   そろそろ片付けて帰ろうかと思っていたところ、今日は半休でいいと伝えてあった部下が戻ってきた。昼過ぎに仕事中に突然大家から電話が掛かってきて、借りている部屋に泥棒が入ったとかで事情聴取やらにい […]
第六百三十六夜   昼食を終えた昼休み、湯呑に淹れたお茶を飲みながら凝った肩と目元のマッサージをしていると、部下の一人が浮かない顔で席の脇に立ち、 「ちょっとお時間、よろしいでしょうか」 と弱々しい声で尋ねてき […]
第六百三十五夜   乾いた北風に吹かれながら今日も通学のため自転車を飛ばして住宅街の外れにある自宅から最寄りの駅へ向かう途中、割と新しい小さなマンションとその向かいの駐車場に挟まれた路上に数台の警察車輌が停まっ […]
第六百三十四夜   正月ボケがまだ抜けきらず、たまの休日くらいは昼前まで寝て過ごしたいと暖かな布団の中でささやかな幸福を味わっていると、ナントカさんから電話だと言って子機を持った母が部屋を訪ねてきた。 別に珍し […]
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