第八百四十五夜    一週間ぶりに出社してきた同僚は、僅かな間に少々頬がコケてはいるものの、退院直後の割には随分と血色が良かった。  口々に大丈夫かと尋ねる同僚達への返事は、入院して退院してきたのだから以前より […]
第八百四十四夜    内見の後始末を終えて報告書を書き上げた部下が、 「例の部屋、いい加減お祓いとかして貰ったらどうですかね。大家さんを説得して」 と、普段より一段階低い声で提案の態をとった要求をしてきた。その […]
第八百四十三夜    まだ水気の抜けきらないまま薄手の上着を羽織り、玄関を出て自転車に跨って夜道を走る。風呂上がりに飲む缶珈琲を切らしていたのに気付いたのはバスタオルで身体を拭いているときだった。  まだ一月と […]
第八百四十二夜    大学受験のために東京近郊の親戚の家へ泊まることとなった。都心まで電車で四十分ほどで、試験前によく目を覚ましておくにはちょうどいいくらいの距離といえるだろうか。  最寄り駅の駅前は結構キレイ […]
第八百四十一夜    同棲している彼女が仕事から帰ってきて、風呂に入っている間に夕食を作る。葉物野菜の値が漸く落ち着いてきたので、今日はコラーゲンたっぷりの鶏鍋である。  タオルを頭に巻いて上がってきた彼女は鍋 […]
第八百四十夜    一月も半ばを過ぎ冷え込みがきつくなってきたためだろうか、近所の爺さんが亡くなった。小さな町の酒屋――今はコンビニエンス・ストア担っているが――の主人で、息子とは幼馴染で長いこと腐れ縁が続いて […]
第八百三十九夜    成人式、と今は言わなくなったのだったか、とにかく同世代の若者が集まる公的なイベントの日、バイトに入ったカラオケ店は入れ代わり立ち代わりで客が途切れることがなく、フードメニューの一部が底をつ […]
第八百三十八夜    遅刻ギリギリになって教室に入り、急ぎマフラを解いているうちに先生が教室に入って来た。畳んだマフラを鞄に詰め、コートから腕を抜きながら席に着いて前を見ると、教壇に立っていたのはいつものジャー […]
第八百三十七夜    七草粥も食べてぼちぼち正月気分も抜けた頃、在宅ワークで凝り固まった肩をコタツの座椅子で回していると、息子が小学校から帰ってきた。一足先に帰ってきて私の隣で早速出された宿題を解いていた娘がび […]
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