第五百三十三夜   風呂上がり後のあれこれを終え、いざ寝ようかというとき、お客の言葉を思い出した。 ――四角い部屋の真ん中に布団を敷き、四隅を順に見回しながら寝る。 それは、金縛りに遭う方法だという。節分に恵方 […]
第五百三十二夜   風呂から上がり、濡れた身体をタオルで拭きながら晩酌のツマミに何を作るか、冷蔵庫の中身を思い出しつつシミュレートしているうち、 「しまった」 と思わず独り言ちた。ちょうど昨晩、買い置きの酒を切 […]
第五百三十夜   賑やかな部室 「五分で戻って来ること、いいね?」 と念を押す顧問にはいと答えながら軽く頭を下げて部室棟の鍵束を受け取り、職員室を後にした。鍵を任されるのは信用されているからなのか、それとも単に […]
第五百二十八夜   陽光が目に刺さって目を覚ますと、全身に軽い痺れのような感覚が有った。筋肉痛の先触れのような、こむら返りのおさまった後の疲労感がまだ筋肉に残っているような感覚だ。 はて、昨夜はそんな風になるま […]
第五百二十七夜   顔を洗って居間へ行くと、ソファで珈琲片手に新聞を読んでいた夫がちらりとこちらに目を向けておはようと言うのでこちらもいつも通りの挨拶を返す。 今日は夫が朝食の当番で、サラダは出してある、ハムエ […]
第五百二十六夜   数年ぶりに母の実家へ帰省して、とはいえ雪遊びに興じるような歳でもなくなり、祖母のお節料理作りの手伝いの他はほとんどだらだらと過ごす内に年が明けてしまっていた。 寒波が入って大雪になった夜、夕 […]
第五百二十四夜   強い寒波の強風に吹き込められるようにアパートへ帰宅して、風呂に湯を張りながら夕餉の支度を始める。 支度といっても、正月の間に消費しきらなかった切り餅を焼き、味噌汁に浸して簡単な雑煮を作り、そ […]
第五百二十二夜   大掃除のついでに、この一年の間部屋に居座っていながら活躍の機会のなかった家財を整理することにした。 多くは健康グッズだが、ディスク媒体の再生機とディスク・ケースも候補に入る。私の手元に持って […]
第五百二十夜   年明け後が締め切りの仕事を年内に片付けてしまおうと、炬燵に電気ポットと甘い物を用意して、ノートPCに向かって作業を始めたのは夜中の十一時頃だった。 疫病騒ぎは数字の上では治まったようだが、マス […]
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