第七百四十三夜    夕食後にひと暴れして眠り込んでしまった息子を布団に寝かせた後、帰宅した妻の夕食に付き合って軽く酒を飲んでいると、 「会社の同僚の住んでいる近所に、良いかもしれない物件があるらしいんだけど」 […]
第七百十四夜   夕食前には戻るからと姉がぞんざいに、宜しくお願いしますと丁寧に義兄が言い、二人はアパートの外に停めた車に乗り込んで出掛けて行った。あとに残されたのは私と私の猫と、来年小学校に入る二人の娘だ。 […]
第六百四十三夜   学校から、近所に刃物を持った不審者が現れたとの連絡があった。現在校内に残っていた生徒は下校をさせずに留め置くので親族が迎えに来られる場合は迎えに来い、そうでなければ警察から安全の確認が取れた […]
第六百二十六夜   草木も眠る丑三つ刻というのも今夜ばかりは例外で、疫病騒ぎの薄さくなる以前であれば、地元の小さな神社でもその周辺は二年参りの客でそれなりに賑やかになるのが常だった。 今年も念の為に人混みを避け […]
第五百五十四夜   憂鬱な月曜の朝の事務所にて、珈琲を淹れて席に戻ると始業までまだ十分程の時間があった。普段なら周囲と雑談でもしながらニュース・チェックをするのだが、右手の座席に座る同僚を見てすっかり興味がそち […]
第五百十二夜   吊り革に体重を掛けながら電車に揺られていると、妻からメッセージ・アプリに連絡が入った。 後どのくらいで帰るのかというので、最後に通り過ぎた駅を思い出し、そこから逆算するに後十分程で最寄り駅だと […]
第五百八夜   秋の陽は釣瓶落としとはよく言ったもので、夕焼けの残るうちに入った商店街の八百屋と肉屋とで買い物を済ますと、辺りはすっかり暗く、アーケードの向こうで太陽を追いかける細く白い月がくっきりと浮かんで見 […]
第四百九十二夜   深夜頃にはここらも暴風域に入ると聞いて風雨の酷くなる前にとバイトを家に帰す約束をして、滅多に下ろすことのないシャッタを店の大きな窓の半ばまで下ろした。 ここは山中の盆地に田畑の広がる中、比較 […]
第四百七十三夜   知り合いの勤める中古車販売店へ、手頃な車がないかと連絡を入れると、幾つか勉強できるものがあるというので買い物前に訪ねてみた。 乗っている車のバッテリにガタが来て、交換と言ってもそれなりの金額 […]
最近の投稿
アーカイブ