第百七十五夜   夏の終わりに女子会でもと、大学の友人四人で集まって酒宴を開いた。   ちょうどテレビで心霊番組が流れていたので、いかにも合成臭いとか、出演者の怖がり方がわざとらしいとか、今のはよく出来た話だと […]
第百七十四夜   夏の終わりにシーズンをやや外れて安くなった学生向けのプランを利用した旅行を友人から提案され、なんとか金と時間の都合を付けて参加することになった。 しかし、ターミナル駅の高速バス乗り場へ早朝に付 […]
第百七十三夜   麻雀に誘われて友人宅へ招かれた。彼のアパートへは初めて訪ねるのだが、スマート・フォンへ送られてきた地図情報のお陰で特に迷うこともない。便利な世の中になったものだ。 酒とツマミの入ったレジ袋を片 […]
第百七十二夜   「この後、幽霊を見に行かないか」と誘われて、思わず、 「は?」 と間抜けな声を上げてしまった。 頭から外した手拭いで顎の下の汗を拭いながら誘ってきたのはこの剣道クラブで知り合った中年男だ。クラ […]
第百七十一夜   母に頼まれた街での買い物を終えて実家へ戻る田舎道を走っていると、盆も終わりとなって幾らか涼しくなった風が窓から入って髪を揺らす。都会と違いすれ違う車も少なく、空気も綺麗だ。 走っているうちに、 […]
第百七十夜   今日は盆休みの初日だから、朝食後の珈琲を普段よりゆっくりと味わえる。デザートに甘ものをつまみながら妻と他愛ない会話をしていると、小学二年生の息子がようやく起きてきたので、夏休みだからといってだら […]
第百六十九夜   社会人二年目、学生時代の友人達ともやや疎遠になったが、かといって新たに友人関係が構築されるわけでもない。折からの猛暑に郷里の夏の暑さはもう幾らかマシだったかと懐かしみ、冷房代の浮く分で学生時代 […]
第百六十八夜   木枝に羽根を休めながら、辺りのクヌギの幹に集る甲虫達を品定めしていると、里の方からクマザサの揺れる音がする。イノシシでも来たかと振り向いてみれば人間の若い女である。里山の森へ僅かに漏れる月明か […]
第百六十七夜   行楽シーズを山で過ごそうという下心で応募してみたものの、山小屋のランチタイムは忙しい。漸く客が引けた午後三時、休憩に入る前に外のゴミ箱を片付けるのだと教えられ、店長と共に店の外へ出る。 籠から […]
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