第七百四夜   仲の良い友人三人と連れ立って、学校見学を兼ねて某理系大学の学園祭にやってきた。案内のパンフレットを手に色々の勧誘を受けながら校舎を歩いていると、お化け屋敷の看板が目に入る。 最先端の科学を学問す […]
第七百三夜   秋分を回って大分暗くなってきた早朝、昨日の雨のためか既に蒸し暑い中を店の裏の倉庫前に立って守衛と世間話をしていると、いつも通り定刻にトラックがやってきた。 守衛の前を離れてトラックを定位置へ誘導 […]
第七百二夜   昼休みになって外へ出ようとすると、小太りの同僚から声を掛けられた。普段は弁当を持参して食べている彼だが、今日は事情があって作れなかった、どんな飯屋があるのかまるで知らないから何処かおすすめの店に […]
第七百一夜   早朝の取材のため、前日のうちに車で現地入りして宿をとった。 宿といっても露天風呂の楽しめるような高級旅館ではないが、それでも近くの漁港で獲れたての海の幸は絶品で、同行した部下と二人して地酒の一升 […]
第七百夜   事務所で仕事をしていると、人の出入りの都合で不意に一人きりになっていることに気が付いた。小さな事務所といえど珍しい。仕事に一区切り付いたところで給湯室へ席を立つ。お茶を淹れようと薬缶を火に掛けると […]
第六百九十九夜   電車を降り、改札を出ると駅前のアスファルトが湿っていた。どうやら珍しく夕立でも降ったようだ。 ところどころの凹みにできた水溜まりを踏まぬよう歩いて、夕飯を買いに駅前の量販店へ入る。温度も湿度 […]
第六百九十八夜   秋の大会に向けた合宿から帰ってきた妹が、溜まりに溜まった夏休みの課題を手伝って欲しいとプリントと教科書とを持って部屋を訪ねてきた。と言ってもベッドと勉強机とでいっぱいになってしまう私の部屋で […]
第六百九十七夜   いまひとつ納得の行かぬ思いで知人の店の扉を押すと、ドアベルのか細い音が店内に響いた。 互いに挨拶を交わすなり、 「何か嫌なことでも?」 と言われる。大したことでもないのに、そんなに露骨に表情 […]
第六百九十六夜   郊外の大型ショッピング・モールからの帰り道、夕陽に向かって走る格好になるのを嫌った夫がトイレ休憩を兼ねて街道沿いの広い駐車場を備えたコンビニエンス・ストアへ車を入れた。 橙色に光る西の空に目 […]
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