第七百三十一夜    正月休みに帰省して年を越し、二日になると早くも皆暇を持て余してきた。来年が受験の甥に請われて勉強を教え、集中力の切れてきたところで一休みにしようと席を立ち、マグカップを片手に台所へ珈琲を淹 […]
第七百三十夜    実家に着いて玄関に荷物を置くなり、買い出しに出る車の運転を頼まれた。部屋に荷物を運ぶくらいはさせてくれと言って居間の甥や姪たちに挨拶をし、仏間の脇を通って階段を上がって部屋に荷物を置く。珈琲 […]
第七百二十九夜    サービスエリアに休憩で入り、特に尿意のあった訳では無いが腰の痛さに席を立った。何時間かぶりに座席から立ち上がって圧力から開放された尻に血が通うのがわかる。  運転手に続いてバスを降りると、 […]
第七百二十八夜    息子の通う保育園が冬休みの直前に、クリスマス会をやるというので妻と三人で手をつなぎながら家を出た。古くからあるキリスト教系の幼稚園で、昔からクリスマス前の土曜には賛美歌を歌い、キリスト誕生 […]
第七百二十七夜    お客様のお部屋から内線が入ったとフロントから呼ばれた。少し早いが食事が終わったので露天風呂に入るから、その間に夕食の膳を片付けて布団を敷いておいて欲しいとのことだ。  洗い場に声を掛けてか […]
第七百二十六夜    バックヤードで事務仕事をしているところへシフト前十分ほどの余裕を持ってバイト君がやってきた。いつも通り挨拶を交わすが心做しか元気がない。  簡単な更衣室へ入って着替える彼へ、どうかしたのか […]
第七百二十五夜    昼休みの少し前、仕出し弁当屋の軽自動車が駐車場に入ってきた。いつものように挨拶を交わしてバックドアへ回って荷物を受け取ろうと待つ。  そこへ運転席から降りてきた弁当屋の親父さんが、 「兄さ […]
第七百二十四夜    三時限目、本日最期の試験時間が終わって解答用紙を前の席に回し、ようやく隣の席へ、 「その足、どうしたの?」 と声を掛けることが出来た。昨日まで何でもなかった彼女が、今朝のホームルームの始ま […]
第七百二十三夜    試験期間に入って部活がなくなり、帰宅した玄関が明るいのは久し振りだった。玄関ドアのノブを回してそっと引くと、予想通りと言うべきか鍵が開いている。一人のときは施錠をしろと上階にいるだろう妹へ […]
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