第六百五十夜   小学校から帰宅した息子が開口一番、パトカーを見た、制服姿の鑑識官もいたと興奮した声を上げた。肩越しに振り返ってうがい手洗いをするように指示し、お八つを用意しながら話を聞く。 彼がパトカーを見た […]
第六百四十九夜   タクシーが旅館に着いたのは、ちょうど夕陽の赤々と眩しい頃合いだった。玄関から出迎えてくれた男性がトランクから荷物を下ろそうとする私を制してその仕事に当たり、玄関前で待機していた若女将に案内さ […]
第六百四十八夜   玄関の鍵を開けた後、念入りにコートを叩き、そっと脱いで畳んでから扉を開けた。極力、花粉を部屋に入れないための工夫である。 荷物の類いも玄関にまとめて置くスペースを作ってあり、後ろ手に鍵を掛け […]
第六百四十七夜   私の務める小さな会社では、毎年十月の初旬に社員旅行がある。毎年三月の半ばにある繁忙期を乗り越えると社長が誰かしらを責任者に任命し、三月中に二泊三日の計画を立てさせる。今年の責任者は三年前に入 […]
第六百四十六夜   昼食の用意のために台所に立っていると、呼び鈴が鳴らされた。今日は昼に誰か尋ねてくる予定があったろうか。通信販売の荷物が届く予定は無い。が、数秒で心当たりを思い出す。今朝八時頃に尋ねてきた業者 […]
第六百四十五夜   私の通う小学校は創立百周年を超える古いもので、いわゆる学校の七不思議がたくさんある。七つどころか両手両足の指でも足りなくて、もうどれが元々の七不思議なのかわからない。七不思議なのに「たくさん […]
第六百四十四夜   憂鬱な月曜の朝に目を覚まし、洗面台の前に身を屈めて驚いた。背中から脇腹が痛むのだ。といってもそれは学生時代によく味わっていた痛みで、恐らく病期の類ではない。筋肉痛だ。 洗顔後、簡単な朝食を摂 […]
第六百四十三夜   学校から、近所に刃物を持った不審者が現れたとの連絡があった。現在校内に残っていた生徒は下校をさせずに留め置くので親族が迎えに来られる場合は迎えに来い、そうでなければ警察から安全の確認が取れた […]
第六百四十二夜   トレイに載せたグラス二つを窓際の少女達へ運ぶと、 「ね、遂に私も変な体験しちゃった!」 と聞こえてきた。 私のバイト先であるこの店は大手チェーンに比べて値段が安く、彼女達のような学生服姿の客 […]
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