第五百五夜   隣の盆地へ呼ばれた仕事の帰り、黄昏時の山中を車で走っていると霧が出た。この辺りではよくあることとフォグ・ランプを付け速度を落として走っていると、見る間に霧が濃くなる。ボンネットの半ばから先すら見 […]
第四百二十六夜   一月も下旬になり、入試まであと僅かとなったある日、仲の良い友人に誘われてこっそり小遣いを持って登校した。買い食いをしようというのではない。学校近くの天神様へ、学業成就の御守を頂きに行こうと言 […]
第三百九十八夜   居心地が悪いのと申し訳ないのとで、断られつつも母の洗い物を手伝い、居間へ戻ると、何やら楽しそうに父と夫が食後のお茶を飲んでいた。 お腹がいよいよ大きくなって休職し里帰りをしているところへ、来 […]
第三百九十五夜   政府が旅行業者への支援策を打ち出したことから、例年なら貧乏学生のサークル合宿でなどとても手の出ないような宿を格安で借りられるとの情報が周ってきて、有志というか、遊びに回せるお金に余裕のある者 […]
第三百九夜   朝から電車に乗って適当な駅で降り、ぶらぶらと知らない街を歩いて写真を撮って回るのを趣味にしている。 今日も秋晴れの空の下、赤く実った万両の実やら、それをついばみに来る野鳥やらをフレームに収めなが […]
第二百五十六夜   地元だからと案内を頼まれ、ゼミの友人と二人して、最寄り駅から近所の神社へ並んで歩く。 古くから門前町として栄えた地域だが、ここ数年は外国人観光客が急増した。季節によっては、昼のあいだ平日と言 […]
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