おまじない Archives

第二百六十七夜腕を怪我した友人に頼まれて、臨時に酒の配送を手伝うことになった。彼を助手席に乗せて指示に従って運転し、彼の御用聞きをしている間に荷運びをする。初め運転を任せては効率が悪いから彼がやると言っ […]

第百六十九夜社会人二年目、学生時代の友人達ともやや疎遠になったが、かといって新たに友人関係が構築されるわけでもない。折からの猛暑に郷里の夏の暑さはもう幾らかマシだったかと懐かしみ、冷房代の浮く分で学生時代 […]

第百六十七夜行楽シーズを山で過ごそうという下心で応募してみたものの、山小屋のランチタイムは忙しい。漸く客が引けた午後三時、休憩に入る前に外のゴミ箱を片付けるのだと教えられ、店長と共に店の外へ出る。籠から […]

第百四十一夜健康だけが取り柄の私が突然の腹痛に襲われて病院に担ぎ込まれ、痛みに悶ているうちにあれよあれよと事が進んで、いつの間にやら手術が終わって入院という運びとなった日のことである。その晩、これまで入院 […]

第百三十夜入学式後のホーム・ルームを終えて教室を出て行こうとする担任を呼び止めると、「何か？」と言って振り返る。昨年、私の入学当初の自己紹介で「下の息子が就職して肩の荷が下りた」と言っていた割に肌も髪 […]

第百十三夜荷物を網棚に載せ、吊革を両手で握って目を閉じている。石油ストーブを焚くとすぐに頭痛のする質で、満員電車の酸素が薄いのか二酸化炭素が濃いのか知らないが、やや気分が悪くなっていたからだ。少々手の痛 […]

第八十九夜パチリ、またパチリと硬い音が繰り返されるのが気になって薄目を開ける。私を起こさぬよう気を遣っているのか照明は常夜灯のみで薄暗い中、傍らのソファで女が爪を切っている。私からはまともに色も見えぬ暗さ […]

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