第三百四十三夜   二日ぶりに食料を買いに出掛けるついでに、鈍った身体を動かそうと普段訪れることのない方面へ足を向けてみた。 幹線道路に出ても通る車は多くなく、大型のトラックまばらに走るばかりだ。これが非常事態 […]
第三百四十二夜   イベント自粛の影響ですっかり暇になってしまったある日、それでも店を開け、宣伝用のビラや企業ページの刷新作業をしていると、事務所の電話が鳴った。 机を離れて事務所へ急ぎ受話器を取ると、落ち着い […]
第三百四十一夜   短期の交換留学プログラムでホーム・ステイを受け入れてくれた家に初めて泊まった翌朝、緊張で眠りが浅かったからか、疲れの抜け切らない一方ですっきりと目が覚めた。 寝間着を着替え髪を梳かし、階下の […]
第三百四十夜   朝食を終えて洗い物に掛かる妻にへ、 「では、行ってきます」 と手を振って、玄関の自転車を担いで家を出た。四月からの新居候補の幾つかを、サイクリングがてら回ってこいという命令である。 お互い子供 […]
第三百三十九夜   コロナ・ウィルスの影響で、我がサークルでも会議が開かれた。といっても、メッセージ・アプリのグループ・チャット上での会議である。大学も施設の利用はほぼ停止して、入学式の日程すらも検討中だという […]
第三百三十八夜   暇なバイト仲間で集まって酒を飲むことになった。暇というのは事実でありつつ、バイト仲間の気になる子を呼んで仲良くなろうという魂胆で、家主である女友達と共謀して互いに意中の相手を誘ったわけだ。 […]
第三百三十七夜   山道の木々のトンネルを抜けると、昼下がりの空と海との青が目に刺さった。気温も二十二度は超えたろうか、丘を駆け下りながら風に体温を奪われるのが心地よい。 沖縄に転勤になって、もうじき一年が過ぎ […]
第三百三十六夜   当直の夜、消灯時間の見回りを終えて事務所に戻り、珈琲メーカのスイッチとテレビの電源を入れ、スポーツ・ニュースを探してチャンネルを弄る。 老人介護施設の当直といっても、重い病気や痴呆の入居者が […]
第三百三十五夜   ガサゴソと周囲が騒がしくて目を覚ますと、カーキ色のドーム型の天井が目に入る。寝惚けた目を擦ろうと動かした腕が寝袋に阻まれて、昨日からキャンプに来ていたのを思い出す。 もぞもぞと動いた私に気付 […]
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