第三百八十四夜   九月になっても、大学生の夏休みは終わらない。疫病騒ぎでスケジュールは随分と変わったけれど、実験機材の不要な授業がオンラインに切り替わり、提出課題が増え、代わりに学生同士の接触の機会が減ったく […]
第二百十七夜   病院のロビィに飾られた観葉植物の脇に立ち、スマート・フォンを弄っている。 別にどこが悪いのでもない。寧ろ今のところは全くの健康体であって、診察に訪れている人達からウイルスなりを貰わぬうちに退散 […]
第百九十九夜   丸一日降り続いた雨が上がって、日課のジョギングに出た。長雨に埃の洗われた秋の夜空に透き通る星明りが美しい。 家からほど近い大きな公園を小一時間走って、休憩をしようといつも腰を下ろすベンチへ向か […]
第百二十夜   送別会を終えて最終電車の無くなった部下の二人を下ろすと、運転手と二人になったタクシーの車内は急に静かになって、時折鳴る無線の他にはほとんど無音かと思われた。 ラジオかテレビかでもという運転手の提 […]
第八十二夜   トルコ人の友人がケバブの屋台を手伝えと連絡をしてきたのは昨夜のことだった。気温の急変にやられて風邪を引いた相棒の代わりに、接客だけしてくれればというので軽い気持ちで引き受けた。 朝から秋葉原、上 […]
第七十七夜   柿や栗といった秋の味覚と引き換えに山の手入れを手伝ってほしいと友人に頼まれて引き受けた。早朝迎えに来た車に揺られて一時間、彼の実家で軽トラックに乗り換えて十五分ほど経ったろうか、山の中腹にぽっか […]
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