第八百一夜    足の極端に遅い台風がようやく去って、一週間ぶりに街まで下りて買い物をした。その帰り、大量の食料や物資を積んで山道を登る足回りは重く、木の葉どころか枝ごと折れて飛ばされてきたものが散乱する中を慎 […]
第七百九十八夜    一週間の疲れを風呂で流し清潔な部屋着に着替えて冷房のよく効いた部屋へ戻ると、乾いて冷たい空気に急速に気化熱が奪われて心地好い。冷蔵庫から酒を取り出し、買い物袋からツマミをテーブルへ並べると […]
第七百九十七夜    深夜勤務のためにバック・ヤードへ入って着替えを済ますと、今日はシフトに入っていないはずのアルバイトの高校生が笑顔で立っていた。彼女が笑顔なのはバイトの面接で初めてあって以来いつものことで、 […]
第七百九十五夜    「ちょっと、タオルを持ってきてもらえませんか」 と玄関からの外から声が掛かって振り返ると、外回りから戻ってきた営業が扉の前で立ち止まり、首に掛けたタオルで髪や顔を拭きながらこちらを見詰めて […]
第七百九十四夜    立秋を過ぎたばかりの盆休みのはじめ、朝からカメラを持って上野の不忍池へ蓮の花を撮りに向かった。昭和に取り残されたような下町の住宅街からそこまでは自転車で二十分ほど、家を出て陽射しの強さ、空 […]
第七百九十三夜    週末の家事仕事を一通り片付けた土曜、まだ暗く成りきらぬ夕方の終わり際から、配信サービスの映画を観ながら簡単なツマミで酒を飲んでいた。と不意に視界の隅がちらつく。暫く様子をうかがうに、眺める […]
第七百九十二夜    朝日の焼け付く小さなベランダへ洗濯物を干し終わり、気温の上がりきる前に買い出しへ出ようと着替えを始めたところへ、大学時代の後輩から電話が掛かってきた。  在学中から何故かなつかれて、卒業後 […]
第七百九十一夜    高校入学後初めての夏休みも、早二週間が過ぎた。今日からは三泊四日の合宿で、一年は午前中の練習を早抜けして家庭科実習室で食事を準備する。二年生の当番が指示を出しながら簡単な昼食を作るのだが、 […]
第七百九十夜    肌にまとわりつく熱い空気に汗を拭いながら駅に付くと、改札へ向かう階段に人だかりができていた。事故でもあったかと自転車を押しながら送ってきてくれた友人と顔を見合わせていると、駅員の持つ拡声器か […]
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