第六百五十八夜

 

今日は入院した友人の見舞いに、友人三人で地域のターミナル駅に待ち合わせをした。入院と言っても大怪我とか大病というわけではないらしい。足に出来た傷口からなんだか悪い菌が入って大きく腫れ、傷の位置のせいで暫くまともに歩けないため、大事を取っての入院だそうだ。

三人が合流すると、互いに見慣れぬ私服姿に非日常感を覚えて不謹慎ながら皆テンションが上がる。普段の学校は制服かジャージだし、休日でも部活動で顔を合わせることが殆どだから、今日は皆気合を入れて来ているのだろう。互いの服装や髪型について会話を続けるうち、いつの間にか友人のいる病院の最寄り駅へ到着し、慌てて電車を降りる。

下調べしておいた花屋で見舞い花を買って病院へ向かうと、芝生の青々と茂る広い庭の中、白く真新しい建物が立っている。

受付で病室を確認してエレベータに向かうと、入院着姿のお爺さんが閉まりかけた扉を開けてくれるのが見え、三人で小走りに駆け込む。キャスタ付きの点滴を引き寄せて後ろに退き、スペースを空けてくれたお爺さんに頭を下げる私の横で、最後に乗り込んだ友人が目当ての階のボタンを押し、他に乗り込もうとする者の居ないのを確認して扉を閉じる。

僅かにモータの唸るような音がしたかと思うと直ぐに扉が開き、降りる前にもう一度お爺さんへ頭を下げようとすると二人が袖を引っ張る。バランスを崩しながら外へ出て振り返ると、もう扉は閉じてしまっていた。
そんなに急ぐこともなかろうと二人に文句を言おうとすると、
「さっき、誰に挨拶していたの?」
と、二人は訝しげで心細気な表情で尋ねる。それはもちろん、わざわざ閉じかけた扉を開けて私達をエレベータに乗せてくれたお爺さんにだと答えると、エレベータには私達三人以外に誰も乗っていなかったと二人揃って首を振った。

そんな夢を見た。