第六百二十二夜

 

ネットで見付けたちょっと凝ったレシピがちょうど冷蔵庫の中身で作れることに気が付いて、少々早めに昼食の準備に取り掛かった。下拵えを終えて鍋を火に掛けて掻き混ぜると、レシピを表示させて傍らに置いていたタブレットが振動してメッセージの着信を報せる。

おたまを左手に持ち替えてメッセージを確認すると、高校時代の友人から一枚の写真が送られてきていた。雪景色の中に年配から二十歳そこそこと思われる姿まで、十数人が並んで笑顔をみせている。
と、
――急にごめん。ちょっとこの写真を見てほしいんだけど
と次のメッセージが送られてきた。社員旅行か何かかと尋ねるとそれは正しく、しかしそういう話をしたいのではない、自分の背後に写っている人物を見てほしいのだとメッセージが返ってくる。

言われるがままに彼女を探して画像を拡大してみると、その直ぐ背後に男性が立っているらしい、青褪めた顔が彼女の被った帽子に半分隠れて写っている。もう少し気を遣って取ってあげれば好かったのにと返すと、
――違うの、この人うちの社員じゃないし、そもそも写り方が変でしょ
という。言われてみれば、男性は顔も目もカメラを向いていない……というよりは、明らかに友人を見つめているように見え、そう思うと途端に気味が悪く思えてきた。

ストーカか何か、身に覚えは無いのかと尋ねると、特にそういう自覚は無かったそうだが、
――高校の頃、こんな顔した子っていなかったか訊きたくて
というのだが、残念ながら記憶にない。

兎に角信用のできる先輩社員に気を付けてもらいながら過ごすよう言うと、彼女も折角の休日に変な物を見せたと詫び、お土産を買って帰るから近く会おうと言って遣り取りを終えた。

そんな夢を見た。