第六百四十八夜   玄関の鍵を開けた後、念入りにコートを叩き、そっと脱いで畳んでから扉を開けた。極力、花粉を部屋に入れないための工夫である。 荷物の類いも玄関にまとめて置くスペースを作ってあり、後ろ手に鍵を掛け […]
第三百七十九夜   シャンプーを洗い流した髪を肩口で絞りながらふと目を上げると、換気のため僅かに開けた窓の隙間からこちらを覗く片目と目があって、思わずキャアと悲鳴が出た。 自分でも驚くほどの声だったためか、母が […]
第三百四十六夜   映画を観ながら一人だらだらと夕食を食べた。他人との接触をなるべく避けるためには仕方がないが、なんとも寂しい、一人住まいの夜の過ごし方だ。 映画を観終わって洗い物を済ませ、そろそろ寝ようかと、 […]
第二百六十六夜   夜勤明けのそろそろ眠たい頭でコインランドリィから部屋に返ってくると、生暖かい空気がじっとりと出迎えてくれる。湿度はさほど外と変わらないのに、不思議と温度は籠もる。 かといって冬場は何処からと […]
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