第七百五十六夜    デートから帰って荷物を下ろすと、彼女が真っ先にしたのはスマート・フォンの充電だった。肩に掛けたターコイズ・ブルーの鞄から充電器とスマート・フォンとを取り出すと、卓袱台の脇に伸ばしたマルチ電 […]
第六百九十二夜   「なあ、この髪の毛、心当たりあるか?」。 何年かぶりに父の口からその言葉を聞いたのは、疫病騒ぎ以来久し振りに帰省した翌日だった。 人間の記憶というのは不思議なもので、たった一言で十年近くも前 […]
第五百九夜   冷蔵庫から昨晩買っておいたサンドウィッチを取り出し、瞬間湯沸かし器でインスタント珈琲を淹れて簡単な食事を摂っていた。 部屋に積まれた段ボールを眺めながら、今日のうちに衣食に関するものくらいは荷解 […]
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