第八十夜

 

深夜の自動改札を抜けて階段を昇ると、まるで人気の無いホームに出た。

普段は最終電車で帰るのだが、その場合ホームはもう少し賑やかだ。今日は少し早めに仕事を切り上げた分まだ数本の電車が残っているはずだから、却って人気がないのだろう。

最寄り駅で最も階段に近い位置まで、LEDの光が眩しいホームを歩きながらそんなことを考えていると、背後からの警笛が腹に響き、驚いて後ろを振り返る。

線路の上には何もない。

ただ列車の通る轟音が近付いて来、全身を巻き込むような強い風が通り過ぎる。

風が止んで呆然と後ろを振り返って見ても、ただ宵闇の中に線路が伸びているばかりである。

自分の目がおかしくなったのかとも思ったが、快速などの通過の前には必ず注意を促すアナウンスが流れることを思い出す。

今聞いたばかりの音と風とが何であったのか理解できぬまま、習慣に従っていつもの乗車位置まで歩き着くと、ちょうど電車の到着を知らせるアナウンスが流れる。

列車の入ってくる方を振り向きそうになって、急に万一車体が見えなかったらと背筋が冷えたので、列車の気配が停まるまで目を瞑ることにした。

そんな夢を見た。