第六百三十一夜

 

私の通う小学校は創立百周年を超える古いもので、いわゆる学校の七不思議がたくさんある。七つどころか両手両足の指でも足りなくて、もうどれが元々の七不思議なのかわからない。七不思議なのに「たくさんある」だなんておかしい?でも、そのお陰で「七つ目を知ったら呪われる」なんて話もない。だから、安心して私の話を読んでほしい。

でも、やっぱり「七不思議がたくさんある」なんておかしいという人のために、最初にその理由に関わる七不思議の一つを紹介することにしよう。

それは、二十年ほど前にこの学校に通っていたという私の担任の先生から聞いた「一つ目ウサギ」という話だ。

私の学校では代々ウサギを飼っている。家が農家の生徒も多いから、形が悪くて売り物にならないだけの、新鮮で美味しい野菜を貰って、結構贅沢な暮らしをしている。時々お婿さんやお嫁さんを外から貰ったりしながら、もう何十年も飼育が続いているのだそうだ。

そのウサギが、時折一つ目のウサギを産むことがある。すると必ず、ほどなく世間や近所でよくないことが起こるのだという。大きな地震や台風だったり、校長先生が亡くなったり、もっと偉い人が亡くなったり……。
でも、先生が通っていた間には何もなかったし、きっと単なる畸形だろうと先生は言った。先生のお爺さんお婆さんの子供の頃には、薬や農薬に危険性のよくわかっていないものが使われていたことがあって、きっとそれが怖がられてこんな話が出来たんだろうと。

なるほどそれは説得力がありそうだと納得して、私は帰宅した。

そんな夢を見た。

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