第六百二十八夜

 

夕食の片付けを済ませた後、軽い晩酌の肴に映画を見ていると、いつの間にウトウトしていたらしく、気が付けば画面にはエンド・ロールが流れていた。年始の初出勤が鈍った身体に堪えたのだろう。

その疲れを風呂で流し、天気予報を見ながら髪を乾かして布団に入って電灯を消す。

さて目を閉じようと思ったところ、足元の掃き出し窓に掛けられたカーテンが、ちかちかと不規則に明滅を繰り返すのに気が付く。窓の外は小さなベランダで、空調の室外機と小さな物干し台が置いてある。その向こうにはこちらと同じ小さなアパートがあり、その内廊下に開けられた小さな窓がこちらに面しているのだが、数ヶ月に一度その蛍光灯が寿命を迎えるらしくこんな風にちらつくことがあるのだ。

カーテンに遮られて直接部屋が照らされるわけではないが、カーテン全体がぼんやりと照らされて実に鬱陶しい。蛍光灯など早く止めて、LEDにしてくれないものか。

イライラしても仕方がない。カーテンの向こうで明滅しているだろう蛍光灯を一睨みしてさっさと寝よう。

そう思ってカーテンに目をやると、物干し台と二本の竿、その向こうのベランダの手摺りの他に、手摺りの高さに何やら丸い影があるのに気が付いた。

はて、何か干したまま回収を忘れていただろうかと記憶を辿るが、特に思い当たる節はない。何処かからやって来た野良猫でも座っているのかとも思うが、これまでベランダに猫を見かけたことは一度も無い。

明滅するカーテンに浮かぶ丸い影を暫く眺め、正体を確かめないでいるのも気味が悪いかと身体を起こす。いざ布団から出ようとした瞬間、先程まで確かに映っていた丸い影が突然消える。

せっかくならば正体を見ておきたかった一方、突然現れて突然消えた気味の悪さもあり、そのまま布団を被って寝ることにした。

そんな夢を見た。