第二百五十夜   夕刻、外での用事を済ませ、帰社するために乗った列車でラップトップ・パソコンのキィを叩いていると、セーラー服の集団が乗り込んで来て、少々喧しくなった。 若い子の元気が良いのは好いことだと年寄り染 […]
第二百四十九夜   カツ カツ カツ 十数歩後ろを硬い足音が背後から付いてくる。最終電車から降り、駅前の小さな繁華街を抜け、公園の脇の道へ入り、辺りが静かになってからずっとだ。 強姦魔か強盗か、それとも単に家の […]
第二百四十六夜   怪奇モノのTV番組を見え終えた娘達に風呂を促そうとしたときだった。 「じいちゃんも、死神を見たことがあるぞ」 と、ビールで酔った父が上機嫌に笑う。 私が子供の時分には、こんな風に子供と会話を […]
第二百四十五夜   薬品の臭いのする廊下を、足音を忍ばせながら部屋番号を確かめつつ歩く。特に病院が嫌いというわけではないが、非日常的な清潔さ、静かさ、臭いには、どうしても胸がざわつく。 ――あった。 目的の大部 […]
第二百四十三夜   突然、ブツリと電話が切れた。 大型連休を目前に控えた夜、大学の友人の一人から数年ぶりに掛かってきた電話だった。連休中に暇ならば久しぶりに会って酒でも飲もうと、スマート・フォンを肩と耳とで挟み […]
第二百四十一夜   定時巡回を終えて守衛室に戻ると、雑誌を前にカップ麺を啜っていた先輩が「ご苦労さん」と労ってくれた。 懐中電灯と制服の帽子を棚に起きながら、センサに反応もないのに見回りに出ることに意味はあるの […]
第二百三十九夜   台所の背後にある扉を引き開けると、右手に鏡付きの洗面台、正面にカーテン付きのバスタブ、左手に便器が配置されている。私の借りている部屋のユニット・バスのそれとは配置が異なり違和感を覚えながらズ […]
第二百三十五夜   共働きの両親が東京へ戻った月曜の朝、独り母の実家に残された私を退屈させまいと思ったのだろう。祖父は私を納屋へ連れて行き、そこにある機会がいかに危険かを説明してから、畑仕事を見に来るかと誘った […]
第二百三十三夜   耳慣れない音に目を覚ますと、常夜灯の橙色の灯りに、いつもよりずっと高く広い天井が視界を覆っている。枕や布団も普段よりずっとふかふかで、自分が寺生まれの友人宅に泊まりに来ているのだと思い出され […]
最近の投稿
アーカイブ