第四十三夜 柿の木の葉が茂ってきた。面倒ではあるが毎年のこと、仕方がなく重い腰を上げ、殺虫剤を撒くことにする。 噴霧器に殺虫剤を入れ、ポリタンクを背負って木に向かう。風向きを確かめていると、雀が数羽飛んできて、何をしてい […]
第四十二夜 散歩に出たはいいものの、五月の湿った空気に強い陽光が加わって蒸し暑い。 交差点の向こうに公園らしき茂みを見付けて、どこか腰を下ろせる日陰でもないものかと探しに入ることにする。 幸い入ってすぐ、楠の木の大木の陰 […]
第四十一夜 もぐもぐもぐと口を口を動かす度に、しゃりしゃりしゃりと音がして、口中に爽やかな柑橘の香りが広がる。 ――やはり葉っぱは柑橘類に限る。 そう考えながらひとしきり口を動かし、足下の葉を三分の一ほど食べ終えたところ […]
第三十夜 窓を叩く雨音に気が付くと、キィ・ボードに手を乗せたまま舟を漕いでいた。無理な格好で頭の重量を支えたために、首の後ろの筋肉が凝って頭痛がする。心拍に合わせて目の奥から後頭部へ、重い痛みがうねるように襲う。天気が悪 […]
第三十九夜 雨上がりの早朝、雨露を湛えた稲の葉が青々と輝く隙間を縫って走る畦道を、犬に引かれて歩く。 と、犬が一鳴きして綱をひときわ強くグイと引く。 犬の視線の先を見ると、道に敷かれた砂利が盛り上がっている。いや、よくよ […]
第三十夜 安アパートの二階にある自室は五月晴れで蒸し暑く、なかなか寝付かれない。 さっぱりしたものを飲みたくなり、財布を手にサンダルをつっかけて部屋を出る。階段を下ったところにアパートの設置した自販機があるので、鍵の心配 […]
第三十七夜 窓を叩く雨音に気が付くと、キィ・ボードに手を乗せたまま舟を漕いでいた。無理な格好で頭の重量を支えたために、首の後ろの筋肉が凝って頭痛がする。心拍に合わせて目の奥から後頭部へ、重い痛みがうねるように襲う。天気が […]
第三十六夜 間もなく列車が到着するとのアナウンスが聞こえ、ホームへ続く階段を急いで上ると、祝日の昼食時で人は疎らであった。 二、三人ごとに固まって列車を待つ列ともいえぬ短い列の、手近かなところに目星をつけて後に付くと、右 […]
第三十五夜 残業に区切りが付いた。鞄を肩に掛けて席を立ち、事務所を消灯して施錠する。共用部分は既に照明が落とされて暗い。エレベータ・ホールでエレベータを待つ。 と、共用廊下の先の灯が気になった。灰皿付きの大きな空気清浄機 […]
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