第九十一夜

 
ごつりと頭を打って気が付くと、黒い床の上へ頭を打ったらしい。辺り一面にぎっしりとひしめく仲間達も皆同じようで、気の付いたものは辺りをぐるぐる見回して首をかしげている。

ここは何処だ。

回りの仲間を押しのけ、滑る床に足を取られながら闇雲に進んでゆくと、やがて床はなだらかに曲がって絶壁を作り、はるか頭上へ伸びているのに出会った。

とても登れそうにない。

左右を眺めてもその壁は延々と黒光りした面をそそり立たせている。

と、背後でパンと音がした。仲間の誰かが「はじけた」らしい。そういえば随分と気温が高くなっているようで、周囲の仲間の顔も火照って見える。

グラグラと床が揺れ始める。

大地震。

床の滑って踏ん張りの利かぬのも手伝って、仲間同士、顔と言わず肩と言わずぶつけ合う。
 熱い。

いつの間にやら足下の床が熱くなっている。少しでも床に触れる時間を少なくしようと皆飛び跳ね、遂に隣の仲間がポンと「はじけた」。

「はじけた」勢いで彼の体は遥か上方へ跳び上がり、黒光りのする絶壁のあちらへと姿を消す。仲間の開放を喜ぶ気持ちとそれを羨む気持ちとが相次いで湧き起こった直後、彼のものと思われる断末魔が壁の外から聞こえ、どちらの気持ちもすぐさま萎えてしまった。きっと壁のあちらも地獄なのだ。

ポンポンと、仲間の身体が次々に「はじけ」はじめる。が、外へ跳び出す者は誰もいない。いつの間にか頭上にはガラス張りの強固な天井が広がって、「はじけた」仲間は皆それに頭を打って落ちてくる。

私も身体の内の膨張が我慢できなくなるのを感じ取り、遂に己の身の限界が訪れたことを悟った。この期に及んで祈ったのは、次のことだけだ。
――せめてキャラメル・ソースたっぷりの、美味しいポップ・コーンになれますように……。

そんな夢を見た。