第四百五十七夜

 

夕食を終えてソファ・ベッドに横になり、同じく夕食を終えてご満悦の飼い猫を腹の上に載せながらテレビの映画を眺めていた。

映画がコマーシャルに入ってこの機に便所へと思い、猫を抱き上げて退かして洋を足しに行く。

帰りにツマミのチーズとアルコールのお代わりとを持って部屋に戻ると、ソファに掛けたシーツと床の隙間から何か白く長いものがソファの上へと伸びている。
――腕だ。
生白い腕がソファの上へ伸び、その先の手が猫を撫でている。撫でられている方は相変わらずご満悦といった表情で、うっとりと目を閉じて撫でられるに任せて香箱を組んで坐っている。

他人の猫を勝手に撫でるなという怒りと、なすがままに撫でられているなという怒りとが湧き、両手が塞がっていることもあり、ついお行儀悪くも足が動き、その腕を目掛けて蹴りを放つ。が、爪先には何の手応えもなく腕の見える空間を通り抜けてしまう。

ただ、腕に対しては何らかの効果があったらしく、慌てたようにシーツと床との隙間へと引っ込んだ。

ひとまず気は治まって、鈍い猫の隣に腰を下ろしてチーズの包みを開ける。と、おやつだとでも思ったか鼻を鳴らして顔を腕に擦り付ける猫をあしらいながら酒の缶を開け、コマーシャルの終わって再開した映画に目を向ける。

猫は霊の類を敏感に察知すると聞くが、うちの子はどうも例外らしかった。

そんな夢を見た。