第四百五十一夜

 

昼食を片付けている間に淹れた珈琲が未だ僅かに落ち切っていないのを見て、手持ち無沙汰に窓外へ目を遣ると、五月晴れの空を遮る洗濯物が目に入る。

もう四時間ほどは外に出してある。ここのところ気温も高いし、そろそろ乾いているかも知れない。一息吐く前に取り込んで畳んでしまおうか。

網戸を開けて手早く取り込み、皺になりそうなものから畳み始める。ワイシャツ、シャツ、ズボン、下着と畳んで、最後に靴下に手を伸ばす。手に取ったものと同じものを見極めて揃え、口を折り曲げて一纏めにしてゆく。

と、折り曲げた口の中に一枚の桜の花弁が貼り付いている。

摘んでゴミ箱へ放し、念の為にとその靴下をひっくり返してみると、十枚ほども花弁が出てくる。とうに桜の散って躑躅の季節だというのに、どこからやって来たのだろう。

訝しみながら他の靴下までひっくり返してみてるが、花弁の入っていたのはその一足きりで、手間が掛からないのは有り難いものの、謎は一層深まる。

念の為に窓外に顔を出して周りを見てみるが、やはり花頃の桜など見当たらない。

記念に一枚を指先に摘み、それを肴に珈琲を啜った。

そんな夢を見た。