第四百二十四夜

 

モニタに資料を大映しにして眺めながら発言者の言葉に耳を傾けつつ、あと十数分でやってくるだろう昼食休憩のメニュを考えていると、発言者の後ろで何かガサガサと物音のするのが耳に付いた。

オンライン会議にウェブ・カメラで顔を移す必要がどこにあるのか疑問に思いながらも片隅に表示してあったウインドウを拡大すると、発言者は眉をへの字にして顔の前で手を合わせ、彼女の飼い猫がビニル製の包装袋か何かを引っ張り出して遊び始めたのだと謝罪する。

時間も無いのでそのまま発表を続けるようにと責任者が指示し、彼女がそれに従うと、今度は大きく長く「なーお」と猫が鳴く。余り機嫌のよさそうな声色ではない。

その声に反応して、
「あとちょっとだから待ってて」
と言いながら、彼女が後ろを首だけで振り返るのを見て、
「え」
と思わず声が出る。私一人だけでない、他の参加者からも同様に、驚きの声が上がっていた。彼女の首が、肩から下を全く動かすことなく、百八十度真後ろへ向かって回ったからだ。

それら驚きの声に反応し、今度は彼女が、
「あ、しまった」
と悔悟の声を漏らしてから、
「すみません、自宅にいるものでつい気が緩んで……」
と言いながら、羞恥で真っ赤に染まった顔を左右にぐるぐると回し、
「子供の頃に気味悪がられて、親にも人前ではやるなと言われて気を付けてはいるんですけれど」
と、照れ隠しにこめかみを掻いた。

そんな夢を見た。