第二百七十七夜

 

夏休み最後の日曜というので、近所の仲の良い家族を誘って河原へバーベキュをしに行った。

幸い天候の不安もなく、家族連れ、職場の集まりと思しき集団、大学のサークルらしき若者達などでごった返す河原になんとか場所を取り、道具を広げて火を起こす。

此処から先はしめたもの、仕切りたがりの夫婦に調理を任せて子供の世話役にまわり、汗を掻いて失った水分をビールで補う。

暫くボール遊びをしていると、一人が便所へ行きたいと言い出し、もう一人の父親に残りの子らを頼んで連れて行く。

利用客の間を縫い、土手の上の便所へ着くと、幸いさほど並んでいない。自分は尿意を覚えていないし、子供も中まで付いてこられては落ち着かなかろう。列から少し離れたところで待っていると伝えて、土手に並ぶ百合を眺めて待つことにする。

そこへ、
「最近、煽り運転がひどくてなぁ」
と嗄れた声が愚痴をこぼすのが聞こえる。

「こちとら公務員だから、法定速度でしか走れねぇんだってのに」
「消費税も上がるから、処分なんてされたらたまらないものな」
「ま、あんな運転するような連中は、いつか必ずこっちで世話することになるからな」
「そのときは覚えておけってんだ」。
そんな会話に、大きな笑い声が続く。

公務員の集まりか。煽り運転の常習者の世話というと、刑務所関連の仕事だろうか。そんなことを思いながら、子供が便所から出てくるのを待つ。

「ああ、串の先はわざと鈍らせておいてやるし、釜茹の温度もサービスだ」
「鉄板も特別に熱くしといてやるか」。
続いてまた多いな笑い声のするほうを見ると、赤い顔、青い顔をした一団がバーベキュ・セットを囲んで酒を飲み、肉を焼いている。その額には一様に、日本の黄色い角が生えていた。

そんな夢を見た。

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