第二百十二夜
珍しく定時に職場を出て帰宅し、鞄からキィ・ケースを取り出していると、家の中からジリリリリと、けたたましい金属音がする。火災報知器の類の、金属の皿を短い間隔で叩くようなベルの音で、玄関から入って直ぐ、階段脇の電話台の上の電話が鳴っているものと悟り、急いで錠を開けて中に入ると、ピタリと音が止む。
間に合わなかったかと思いながら靴を脱ぎ、誰からの電話だったかと電話機を見てぞっとする。
とうの昔に電話機を買い替えた我が家に、黒電話の音など響くはずがなかった。
そんな夢を見た。
珍しく定時に職場を出て帰宅し、鞄からキィ・ケースを取り出していると、家の中からジリリリリと、けたたましい金属音がする。火災報知器の類の、金属の皿を短い間隔で叩くようなベルの音で、玄関から入って直ぐ、階段脇の電話台の上の電話が鳴っているものと悟り、急いで錠を開けて中に入ると、ピタリと音が止む。
間に合わなかったかと思いながら靴を脱ぎ、誰からの電話だったかと電話機を見てぞっとする。
とうの昔に電話機を買い替えた我が家に、黒電話の音など響くはずがなかった。
そんな夢を見た。
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