第百六十一夜

 

暑くなる前にと午前中に買い物を済ませたものの、強い日差しと湿度の高い空気のために、帰宅したときにはシャツを絞れるくらい汗をかいていた。

居間の冷房を付け、生鮮食品だけ冷蔵庫へ放り込んでから服を脱ぎ風呂場へ入る。

ユニット・バスの浴槽へ入って、温度の低いシャワーを浴びると、火照った体が急速に冷えてゆくのがわかる。

目を閉じて顔からシャワーを浴び続けていると、足元にざらざらとした感触がする。目を閉じたまま足で探ると、どうやら大量の髪の毛のようだ。

シャワーを止めて目を開けると、水を堰き止めるほど多量の長い髪の毛が排水口から伸びている。

自分の髪がこんなに貯まるまで放ったらかした覚えはないのだが、このまま詰まらせる訳にもゆかず手に取ると、すんなりと一掴みもある髪の束が抜けた。

後でゴミ袋へまとめようとその毛束を洗面台へ置き、まだ毛の取り残しがないかと排水口を覗く。と、そこには丸い目玉がぴったりと収まってこちらを見つめていた。

そんな夢を見た。