第百三十八夜

 

改札を出て駅前の繁華街を独り早足で歩く。駅前の小さな繁華街の狭い歩道を歩いていると、スーツ姿の二人連れに追い付く。どこかの店で一杯引っ掛けようという算段らしく、どこの店が良いか相談しながらの二人の歩みは遅く道幅一杯に並んで歩いているために追い抜こうにも追い抜けない。

こちらとしては早く帰宅して一風呂浴びたいので、こちらに気付いて道を譲ってくれるか、さもなくばどこかの店に入ってしまってほしいものだ。

そんな風に思いながら数分彼らの後ろを歩いたところで、通りに面した壁一面ガラス張りの居酒屋の戸を一人が開け、もう一人がその中に体を滑り込ませる。

その背後をようやく通り過ぎたとき、
「二名様ですか?」
と、店の中から元気のいい店員の声が聞こえ、見るとはなくそちらに目が行く。
「いえ、三人です」
と、一人が答える。
「え?三名様ですか?」
といった店員が通り過ぎる私を見つけ、目が合ったので、思わず首を振ってみせる。
「後からいらっしゃるんでしょうか?」
再び尋ねる店員に、
「いや、ほら、三人」
と、再び男の声が答える。

私は背筋に嫌なものを感じて視線を前に向け、振り向くことなく家路を急いだ。

そんな夢を見た。

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