第四百三十七夜

 

カートに載せた一週間分の食糧を眺めながら、屋上の駐車場へ向かうエレベータの到着を待っていた。最近は運動不足を補うべく、多少のことなら階段を上り、自転車や自動車を避けて歩くことにしているが、流石にこの量を持って何階も上がるのは堪える。

と、背後の階段から小気味よいテンポの軽快な足音が響いてきた。振り返ると小学校中学年くらいか、どこにでもいそうな活発そうな少年が駆け下りてきて、そのままこちらには目もくれずに売り場の方へ飛び出して行く。未だ風も冷たいのに半ズボン姿で、風邪など引かねば好いがと余計な心配をする。

と、今度はエレベータの到着を知らせるチャイムが鳴る。先程の少年が駐車場から駆け下りてきたものなら、彼の家族でも乗っているのかもしれない。自分も子供の頃には、エレベータと階段とどちらが速いかの競争のようなものをした覚えがある。

カートを正面から避けるうちに扉が開くと、中から活発そうな半ズボン姿の少年が駆け出してきて、そのまま売り場の方へ飛んで行く。

つい数秒前に見たばかりの顔と服装でぎょっとする。暫く呆然と遠ざかって行く背中を見つめ、エレベータの扉の閉じ掛かるのに気付いて慌ててカートを押して乗り込み、屋上階のボタンを押して漸く、少年の他に家族の乗っていなかったことに気が付いた。

そんな夢を見た。