第三百三十四夜   乗降客のほとんどいない改札を抜け、車両で見つけた同級の友人二人と並んで、学校へ向かって歩き始める。真っ昼間の通学路を歩くのが初めてたからだろう、新鮮さと居心地の悪さを感じる。 期末試験の採点 […]
第三百三十三夜   ドライヤの温風を髪に当てながら、バッサリと切ってしまおうかと鏡を見つめる。 どうせ学校は四月の新学期まで始まらないし、友達と何処かへ遊びに出掛けるというのも色々と不安だし親も良い顔をしない。 […]
第三百三十二夜   風呂を上がって髪にタオルを巻き、部屋着に着替えるとようやく一心地付き、帰宅したという安らぎが得られた。 厳密にはまだ鼻はムズムズするし目も痒いのだけれど、これは風呂を上がってしばらくすれば治 […]
第三百三十夜   「立ち止まらずに御覧下さい」のアナウンスも虚しく、展示品の前には黒山の人集りが出来、列は遅々として進まないでいた。 列から離れた後方の空間に立ち、特別展示の期限ギリギリまで予定を延ばしたのは失 […]
第三百二十九夜   パート帰りに買い物をして、それを冷蔵庫に詰めながら夕食の献立を考えていると、普段は日溜まりで寝てばかりいる三毛が脛に絡み付いてきた。 買い物ついでおやつを買ってきたとでも思ってねだっているの […]
第三百二十七夜   マスタードの効いたソーセージを齧り、口の脂をライムの効いたカクテルで流す。週に一度、今週も折り返しまで頑張った自分への褒美として、仕事帰りに楽しむ「いつもの」メニュだ。 大きな繁華街の隅にあ […]
第三百二十五夜   カップになみなみと注いだココアを片手に書棚を見回し、雑誌を手に取って指定された番号の席を目指してそろそろと歩く。 間もなく扉の空いたままの座敷席を見つけ、荷物を置いて靴を脱ぎ、背後の扉を閉め […]
第三百二十四夜   妻がインフルエンザで床に伏せたために、娘達の弁当など慣れない朝の支度に手間取って、家を出るのが普段より三十分ほど遅くなった。 最寄り駅までの道を人の流れに沿って歩きながら、今晩はどこかで妻の […]
第三百二十三夜   仕事の都合で二週間だけ、急に他県へ赴任することになった。従業員にインフルエンザが蔓延して仕事が回らなくなったのを、各地から人員を掻き集めて補うためだ。 僅かな期間の赴任だが、それなりの人数を […]
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