第二百三十一夜

 

郊外のホームセンタへ妻と娘を載せてきた。が、買い物をしている間は基本的にお呼びでない。妻に買い物が終わったら荷物を運ぶから携帯へ連絡するよう伝えて、屋上の駐車場に設えられた喫煙所へ上る。

車から熱い珈琲の入った水筒を持ち出して喫煙所のベンチに座り、転落対策の高い金網の柵越しに景色を見渡しながら煙草に火を点ける。

郊外といっても、金網の向こうの景色に緑はそう多くない。街路樹、歩道の脇の植え込みや小さな公園の他は、舗装された道路、工場と倉庫らしき建物ばかりが並んでいる。如何にも近代的で人工的な清潔感を感じさせるが、田舎育ちの身としては、鳥も虫も見えない春の景色というのは少々気味が悪い。

珈琲を啜って水筒を片付け、二本目の煙草を咥え、しかし火は点けずに立ち上がって金網の前に立ち、改めて景色を見下ろす。

店の前の交差点から、来た道を目で辿る。一つ前の交差点との間に、大きな倉庫とフォーク・リフトやらが整然と並ぶ一角があって目を引かれた。

小さな人影と玩具のような重機が忙しく動く様子が童心をくすぐる。

一体何の工場かと、綺麗に舗装され、白い通行表示と照明とが整然と並ぶ敷地を見回していると、一瞬背中に冷たいものが走った。

敷地の真ん中を通る道の傍らに、古い紺色の作務衣のようなものを着せられた案山子が立っていた。

そんな夢を見た。