第二百二十一夜

 

軽トラックの助手席で、ドア・ポケットの上の手摺に頬杖を着いて、流れて行く窓外のの景色を眺める。

友人が引っ越しを手伝えと言うので夜の鍋を報酬に引き受けたのは良いが、もう三度目の復路で、流石に疲労が瞼を重くする。一人暮らしのワン・ルームによくこれほどと呆れるほどの荷物が詰まっていて、新居では今もそちらに残った二人が先二回の荷物を運び淹れているはずだ。

目指す引越し先は道幅の狭い住宅街の中の比較的新しいアパートで、古いが故に寺社なども多く、細く曲りくねって道幅も狭い。

幾度か角を曲がって長い直線を走っていると、左手にカーブ・ミラーが見えた。
「右の脇道、気をつけろよ。花も置いてある。」
と顎で示して、また瞼を閉じる。暫くすると、
「あれ?」
と驚きの声が掛けられて、何かあったかと問い返すと、右手にはブロック塀が続くばかりで横道なんてなかったと言う。

そんなはずはない。直線道の途中にカーブ・ミラーが立っているなら、その反対側に合流する道があるか、せめて人家やアパートの玄関くらいはあるものだ。

右肩越しに振り返り、後部の窓からそちらを見れば、確かに途切れず続くブロック塀の上に、数本の卒塔婆が突き出していた。

そんな夢を見た。