第百四十三夜

 

木曜から溜めた洗濯物を、人がおらず、かと言って暗くもない早朝にコイン・ランドリィへ洗濯に出るのが、勤め始めてからの私の習慣である。

道端に咲き誇る躑躅や薔薇を横目に行きつけの店へ向かっていると、十メートルほど前方の車道のアスファルトになにやら茶色いものが平べったく貼り付いているのが目に入る。

よせば良いのに好奇心から注視すると、それは一匹のカエルであった。細い道とはいっても車の全く通らぬわけではない。道を渡ろうとして轢かれたものだろう。

それにしても、この辺りに水場なんて有っただろうかと記憶を探ると信太の森の鏡池が思い浮かぶが、近いといっても歩いて五分は掛かる。一体何が目的でこんなところまでわざわざやってきたのか見当がつかない。

カエルの横手へやってきたところで、カエルがぽこりと盛り上がる。ぎょっとして目を奪われているわずかな間にその背が丸くなり腕と脚とが盛り上がる。

すっかり立体感を取り戻したカエルは、思わず脚を止めている私の方へ首を回し、ゲコと一鳴きして道のあちらへ渡っていった。

そんな夢を見た。