第二百五十夜

 

夕刻、外での用事を済ませ、帰社するために乗った列車でラップトップ・パソコンのキィを叩いていると、セーラー服の集団が乗り込んで来て、少々喧しくなった。

若い子の元気が良いのは好いことだと年寄り染みたことを考えながら、そろそろ社の最寄り駅かと気付いて荷造りを始める。

その耳に、
「昨日の夜ね、うちに小さいオジサンが出たの」
「え、本当?」
「ええ、○○ってそんなキャラだっけ」
と、その子達の会話が聞くともなく入ってくる。

小さいオジサン。確か、バラエティ番組か何かで見たことがある。夜道やホテル、自宅など、様々なところに出没する、文字通り小さなオジサンの外見をした、妖怪のようなものだという。個人的にはピーター・パンのような緑色のベストを着た小人をイメージしてしまうのだが、それは番組の挿絵か何かの影響だろう。残念ながら、実物にお目にかかったことは無い。

荷物が片付き、そろそろ次の駅に着くので席を立って、ドアの前まで移動する。
「無い無い」
と相手にされぬ言い出しっぺの子が、
「本当に見たんだって」
と頑張る。
「小さいオジサンじゃなくても、なにか変なものを見たことくらいない?」
と言うと、彼女達の中で最も大柄な子が、
「あたし、あるわ。部屋でぼーっとしてたら、なんか透明なクラゲみたいのがふわふわ浮いてた。いや、本当に」
と言って、次の槍玉に上がった。

そんな夢を見た。