第五百五夜   隣の盆地へ呼ばれた仕事の帰り、黄昏時の山中を車で走っていると霧が出た。この辺りではよくあることとフォグ・ランプを付け速度を落として走っていると、見る間に霧が濃くなる。ボンネットの半ばから先すら見 […]
第五百四夜   管理人の趣味でカボチャやら黒猫やらの飾り付けられたエレベータ・ホールで、夕食の入った買い物袋を手持ち無沙汰に揺らしながらエレベータの降りてくるのを待っていた。 やがてエレベータの扉が開き、一歩踏 […]
第五百三夜   このところすっかり鈍った足腰を鍛えるべく、朝起きして久し振りに手入れをした自転車で近所を走ることにした。その程度で何の鍛錬になるかと思われそうだが、この辺りは谷の付く地名に恥じることのない起伏に […]
第五百一夜   帰宅して玄関の戸を開けると、一瞬遅れて灯りが点く。下駄箱の前に置いたゴミ箱に外したマスクを捨てて靴を脱ぎ、上着を土間の壁のフックに掛ける。上がり框を上がってそのまま流しと風呂・トイレとに挟まれた […]
第五百夜   酒類の提供が解禁され、友人と久し振りに共通の好物である沖縄料理を食べに出掛けた。 自宅でレシピを真似ても何故か再現出来なかった懐かしいあれこれの風味に舌鼓を打つうち、まだ夜も浅いのにラスト・オーダ […]
第四百九十八夜   提出課題を終えたご褒美にアイスでも買おうかと近所のコンビニエンス・ストアへ向かうと、既に町は薄紫色に包まれていた。秋分を過ぎてすっかり陽の落ちるのが早くなったものだ。 コンビニの中で包装を破 […]
第四百九十七夜   郊外へ引っ越しをした晩、最低限の衣服、寝具と風呂、トイレ周りの荷解きとを終わらせたところで疲れ果て、見慣れぬ風呂場で汗を流した後直ぐ、居間に広げた布団に親子三人久し振りに川の字になると、目を […]
第四百九十六夜   取引先から帰社する電車の中、 「何か旨いものでも食おうか」 と上司が言い、最寄り駅の駅前の飲食店が臨時で出している弁当で、結構値の張るものを奢って貰った。 近くのコンビニエンス・ストアでお茶 […]
第四百九十五夜   組み上がったPCに古いハードディスクを接続して起動すると、認識は無事成功した。依頼主の部下に内容を確認するように言うと、彼女は礼の言葉と共にカップ入りアイスを出して労ってくれる。 椅子を交代 […]
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