第六百三十一夜   私の通う小学校は創立百周年を超える古いもので、いわゆる学校の七不思議がたくさんある。七つどころか両手両足の指でも足りなくて、もうどれが元々の七不思議なのかわからない。七不思議なのに「たくさん […]
第六百三十夜   放課後、体操服に着替えて校庭へ出ると、暫く部活を休んでいた友人が爪先を地面に付けてぐるぐると足首を回していた。 「もう良くなったの?」 と後ろから声を掛けると彼女は振り向いて頷き、 「お陰様で […]
第六百二十八夜   夕食の片付けを済ませた後、軽い晩酌の肴に映画を見ていると、いつの間にウトウトしていたらしく、気が付けば画面にはエンド・ロールが流れていた。年始の初出勤が鈍った身体に堪えたのだろう。 その疲れ […]
第六百二十七夜   正月明けの登校初日、退屈な新学期の始業式に続いてホームルームで冬休みの課題を提出し、晴れて下校時間になった。 幼馴染の友人と共にお喋りをしながら校門を出ると、 「そうそう、朝のアレ、何なのか […]
第六百二十六夜   草木も眠る丑三つ刻というのも今夜ばかりは例外で、疫病騒ぎの薄さくなる以前であれば、地元の小さな神社でもその周辺は二年参りの客でそれなりに賑やかになるのが常だった。 今年も念の為に人混みを避け […]
第六百二十四夜   寂しい者同士が三人で映画でも見ながらケーキをつつこうと友人のアパートへ集まった。各々が気を利かせて持ち寄った酒と甘味とを合わせるとなかなかの量になり、さながらカロリーの過剰摂取大会である。 […]
第六百二十一夜   「前任の方、亡くなったんですって?」。 今日初めて派遣された清掃先で、先方の警備責任者という人間が、建物の見取り図と注意事項を書いた書類、入構証と鍵束を手渡しながらそう言った。 「はあ、そう […]
第六百二十夜   何やら冷たいものが頬を撫でる感触で目が覚めた。猫が朝飯をねだりにでも来たろうかと思うが、それにしては感触が冷たい。ならばカーテンが風に吹かれ頬を掠めて揺れているのだろうか。いや、師走も半ばにな […]
第六百十八夜   定期試験の最終日、試験後のホームルームで担任が、五名ほどアルバイトを雇いたいというので立候補した。在校生の定期試験の終わった明日からは中等部の推薦入試が始まるそうで、そのために各教室の机を運び […]
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