第四百十夜   トレイに載せたグラス二つを窓際の少女達へ運ぶと、 「ね、大手町の首塚が壊されて、早速、祟り?かなんかの地震が起きたんだって?」 と聞こえてきた。 私のバイト先であるこの店は大手チェーンに比べて値 […]
第四百九夜   始業前、コートを脱ぎ給湯室へ行こうとすると、既に席についていた上司が、 「申し訳ないけれど、私の分もお願いしていい?」 と、こちらにひらひらと右手を振りながら声を掛けてきた。 珍しいこともあるも […]
第四百八夜   仕事帰り、野球シーズン最後の試合が気になって、久し振りに外で酒でも飲んで夕食代わりにしようかと思い立った。 駅前に、店の前面が一面硝子張りで中に大きなTV画面が見え、いつも野球中継を流しているの […]
第四百七夜   少しだけ長く寝た休日の朝、寝ぼけた頭で珈琲を淹れながらスマート・フォンをチェックすると、ある米国人の友人から久し振りにメッセージが入っているのに気が付いた。 大学時代にこちらへ留学でやってきて、 […]
第四百六夜   日帰りの撮影旅行から帰宅すると直ぐに、記憶媒体に一杯になったデータを全て選択してデスクトップ・パソコンのハードディスクへ移すよう命令すると、ややあって作業中のファイルを提示するウィンドウに、残り […]
第四百五夜   目を覚ますと周囲が青白く、消毒薬の匂いに満ちていた。眠い頭で暫く考えて、自分が入院中だと思い出す。 学校から帰宅して直ぐに急な腹痛に襲われて医者に担ぎ込まれ、虫垂炎、いわゆるモーチョーだと診断さ […]
第四百四夜   勤め先から車に乗って三十分、最寄り駅の近所まで来て、最近珍しいくらいの渋滞にぶつかった。 前方が動かぬのを見てハンズ・フリーのまま妻に状況を報告し、ついでに量販店での買い物でも無いかと打診する。 […]
第四百三夜   後輩の女子社員に頼まれて休日の買い物に付き合った帰り、特に用事もないので一緒に下りの列車に乗った。ちなみにこれはデートなどでは決してない。彼女に初めてできたボーイフレンドへの誕生日プレゼントを決 […]
第四百二夜   東海道を箱根に向かって下り始めて小一時間、そろそろ上り坂になってきた。辺りの景色も、何が面白いのか子供の頃に親がテレビで付けていた駅伝で見たのか、どことなく懐かしい。 予約した宿の看板を見付けて […]
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