第二百三十五夜

 

共働きの両親が東京へ戻った月曜の朝、独り母の実家に残された私を退屈させまいと思ったのだろう。祖父は私を納屋へ連れて行き、そこにある機会がいかに危険かを説明してから、畑仕事を見に来るかと誘った。

乗り物の好きな私は、てっきりトラクタに同乗できるものかと思ったが、
「これは一人乗りでな。そうやって子供を一緒に乗っけて、取り返しのつかんことになることもある」
と、きっぱりと否定される。

ならば別のことをしたいと言い、買い物に出る祖母に付いて散歩をすることになった。

祖母の運転する車の助手席から、春の農地の景色を見る。三ヶ月前、つまり年末年始に帰省してきた際に見た白一色のそれと同じ土地とは思えない。

そんな畑の中に、背の高い白木の柱が立っているのが見えた。目を凝らすと、柱の間に白い紙切れがひらひらと風に揺れている。

以前、似たものを見たことがある。近所で建築工事が行われるとき、変な帽子を被ったお爺さんが紙で出来たハタキを振っていたのを見たことがある。そのときと同じ柱だ。
「あそこ、畑の真ん中なのに、家を建てるの?」
と祖母を振り返ると、祖母は私の指先をちらと見て、
「ああ、あそこはね、神様の土地なのよ。あそこで出来たものを秋には神様に捧げる決まりでね。人間が食うと、バチが当たって目が潰れるんだって」
と、方言混じりに私を脅かすのだった。

そんな夢を見た。