第百八十夜

 

昼寝から目が覚めて伸びをすると、首元でチリンと耳に刺さる金属音がする。おやと思って俯くとまたチリンと鳴るが、視界に入る限り何もない。どうやら首輪の下に鈴が付けられているらしい。

音に気付いた同居人が、ちゃんと動きに合わせて音が鳴る、これで踏んづけずに済むと言って笑う。

冗談ではない、これでは五月蝿くてかなわない。寝相の悪い方ではないが、たまには思い切りごろりとやるときもある。そんなときに首元で大きな音を鳴らされては迷惑だ。

前足で首輪を掻いてみる。残念ながら首輪の径は顔の幅よりかなり狭く、自力では外せそうにない。前足の爪が首輪を弾く度、嘲笑うかのような鈴の音がチリチリと耳に刺さる。

今度は同居人の顔を見ながら、抗議の意を示す低い唸り声を出しつつ首輪を掻く。余程の阿呆でもなければ、不快に思っているのを悟るはずだ。
「あら、音が気に入ったのかしら。自分で鳴らしているわ」。

そんな夢を見た。

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