第百七十五夜

 

夏の終わりに女子会でもと、大学の友人四人で集まって酒宴を開いた。
 
ちょうどテレビで心霊番組が流れていたので、いかにも合成臭いとか、出演者の怖がり方がわざとらしいとか、今のはよく出来た話だとか、気心の知れた仲間内の気安さで好きなことを言って盛り上がる。

一通り騒いで番組が終わると、各々に何か不思議な体験でも無いかという話になる。

自分で体験したわけではないが、通っていた学校や、アルバイトをしていたカラオケ店になら噂があったというのは意外と多く、幾つかの話が出てお酒も進む。

これまで聞き役に回っていた子に、何か無いかと話を振ると、
「うちの妹の中学の話なんだけど……」
と話し始める。

彼女の妹は中学時代にバレー部に所属していたという。

二年生の夏、県大会が終わり三年生が引退となり、キャプテン等の引き継ぎが行われた。すると、練習中に部室から私物、特に練習後に着替えるための下着類がしばしば紛失するようになった。

初めは皆、持ってきたつもりが忘れていたのだろうと思っていたが、あまり頻繁なので窃盗を疑って顧問に相談をした。

すると、気のせいか、さもなくば部員同士での悪戯か嫌がらせか。部員内の人間関係に問題がないか、さもなくば、練習中に他の部活の男子生徒が忍び込んで悪さをしているのかも知れないが、戸締まりを怠る上級生の管理の問題だと言って叱られた。

いくら最上級生になって間もないとはいえ、部室の鍵の管理はついこの間まで間近で見て、場合によっては任されてきた仕事である。中学にもなって、週に二件も三件も紛失・盗難が続くことなどそうそうなかろう。まして下着ばかりとなれば自分達だって大いに気を遣うところだ。実際、三年の引退までは滅多になかったのである。
「うーん。それは怖いというより、気色悪い話じゃない?」
と、聞いていた一人が口を挟み、皆が頷く。
「うん。それで、男の顧問じゃデリカシーが無くて埒が空かない、校長先生が女性だったんで、妹たちはそっちに直談判したんだって」
「おお、賢い」
「私が中二の頃に、そんな頭は無かったわ」
「うん、それで?」
「夏休み明けにね、その顧問が転勤になったの。三年のクラス担任だったのに」。

そんな夢を見た。

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