第三百八十七夜   通り雨が止んだのを見計らって、具合が悪いと寝込んだ妻のメモを頼りに買い物に出掛けた。 入念にメモを確認して買い忘れの無いことを確認して店を出ると、夕陽が雨を蒸発させて風が粘つく。先程まで生鮮 […]
第三百八十六夜   深夜、僅かなタクシィとトラックの他には通るもののほとんど無い幹線道路に自転車を走らせて日暮里駅の東側に着くと、シャツもズボンもすっかり汗で湿っていた。 九月のこの時間でもまだ湿った熱気が澱の […]
第三百八十三夜   このご時世で勤め先が無くなって、それでも伝を辿ってどうにか不動産屋に拾ってもらい、二週間ほど仕事を教えてもらった後、盆は「休み中に覚えておけ」と出された宿題を慣れないながらどうにかこなすのに […]
第三百八十二夜   秋の夜長と言うほどではないが秋分も近付いて幾らか日暮れも早くなり、夕食後の腹がこなれてジョギングに出掛ける頃にはもうすっかり夜になっていた。 ジョギング用のジャージとTシャツに着替え、軽くス […]
第三百八十一夜   一人暮らしの一週間分の食料の買い出しに街へ行った帰り、もう陽も沈みかけて薄暗い谷沿いの道を車で走っていると、道の真ん中にうずくまる白い人影が見えた。 速度を落としながら近付くと、ライトの中に […]
第三百八十夜   定時の巡回から帰るなり、 「いや、参った。汗だくだから、ちょっと着替えるわ」 と、先輩は毛むくじゃらの手に持ったタオルで顔の汗を拭った。どうぞと答える暇もなく彼はロッカを開けると上着を脱ぎ始め […]
第三百七十八夜   盆休み、今年はこちらの実家の番ということで、夫と子供とを連れて昨冬から半年振りに帰省した。 母の甘やかしによって夕食の片付けの手伝いを免除された娘と息子が居間でお盆定番のテレビの心霊特集を見 […]
第三百七十七夜   蒸し暑さに目が覚めて、やや寝足りないものを感じつつ顔を洗って水を飲む。額や首に熱が籠もっているように感じるのは軽い熱中症だろうか。 汗で湿った寝間着をジョギング用の服に着替え、水筒とイヤホン […]
第三百七十五夜   幸いにもテレ・ワークで大半の仕事が片付く職種なのだが、週に一度の出社でしか外へ出歩かなくなって早くも三ヶ月が経った。 運動不足は自覚していたが、先日遂に、 「顔に肉がついたのでは?」 と後輩 […]
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