第二百八十五夜   ソファ・ベッドの前に置いた低いテーブルに酒とツマミ、大型モニタにネット配信の映画を流す用意をして部屋の電灯を消してから、このささやかな宴の前に用を足しておこうとワンルームの戸を開けて便所に入 […]
第二百七十九夜   せめて気温の上がり切る前にと、開店直後の量販店で食料を買い込んだ。一週間分の食料のずっしりと重い買い物袋を両手に提げて、額を垂れる汗を拭うこともままならないまま住宅街の細い路地へ入る。 大通 […]
第二百七十八夜/h3>   日が暮れてなお蒸し暑いホームから車両へ入ると、よく冷えて乾いた空気がシャツの汗と体温を急激に奪っていった。それだけで、一日の仕事を終えそれなりの達成感と大きな疲労感を抱えた身体 […]
第二百七十七夜   夏休み最後の日曜というので、近所の仲の良い家族を誘って河原へバーベキュをしに行った。 幸い天候の不安もなく、家族連れ、職場の集まりと思しき集団、大学のサークルらしき若者達などでごった返す河原 […]
第二百七十六夜   炎天下、同僚達と昼食を摂って社屋へ戻ると、一人脇の植え込みの横を通って裏手の勝手口へ回り、煙草に火を点けた。社内分煙のため屋内は全室禁煙となっており、喫煙所は勝手口の外に設けられたここだけで […]
第二百七十一夜   今年から移った勤め先の最寄り駅の近くに、常連とは言わないが月に数度呑みに行くようになったバーが有る。 落ち着いた雰囲気ながら気障でも成金趣味でもない、かといって垢抜けず貧乏臭さもない不思議な […]
第二百六十三夜   九州から東北までを隙無く梅雨前線が覆って生憎の雨天となってしまったが、ワイパのちらつくフロント・ガラス越しの運転も、大型連休以来久しぶりのデートだから苦にならない。 何処へ行こうかと話し合っ […]
第二百五十六夜   地元だからと案内を頼まれ、ゼミの友人と二人して、最寄り駅から近所の神社へ並んで歩く。 古くから門前町として栄えた地域だが、ここ数年は外国人観光客が急増した。季節によっては、昼のあいだ平日と言 […]
第二百五十一夜   大学で知り合った留学生がパンダを見たいと言うので、上野の西郷像で待ち合わせをした。 地下鉄を降りて地上に出ると、初夏の日差しが目を焼く。階段に腰掛けた似顔絵描きの横を登ると、待ち合わせには十 […]
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